「太陽と鳥 Ⅱ」について



ジョルジュ・ブラック (1882-1963)

作品名:“太陽と鳥 Ⅱ”
技法: カラーリトグラフ 限定75部
サイズ:44x53cm
制作年:1958〜59年
右下作家の署名、左下限定版号有り
文献:ドラ・バリエ著 「ブラック版画集(カタログレゾネ)」
P185、No129 に掲載


ご承知のように、セザンヌがヒントを与えた絵画の二次元性の問題を
発展させ、キュービズムの概念をブラックが確立した
といわれるのは、1908年、作家26歳のカンワイラー画廊での
個展を契機とするものであった。
嘲笑をこめた批評に蹂躙された人間の行動や言動が、
後年正当性を得て、あまねく世間から認められることは、
枚挙にいとまが無いが、こと美術界に於いては、常にそうした形で
作家達の作品が理解され、美術史は変遷を遂げてきた。

ブラックとピカソを代表とするキュービズムもその例外では無い。
ブラックは日本では、その名に先攻されたピカソほどには、
紹介の機会や愛好家が欧米に比して
やや少ないように見受けられるが、
美学上は、数世紀に数人といわれる
重要な作家の一人
である。

この作品は、
晩年の「鳥シリーズ」の作品中の傑作の一つである。
太陽と鳥が単純な形態に白抜きされ、四角のわくの中で、
今まさに二つは折り重なる様に見える。
おそらくアトリエからの眺めで、閉息された部屋の窓の向こうに、
たおやかに飛翔する鳥の姿は、
作者の静かで統一ある精神性を示して、
見るものをして、穏やかで静謐な詩情を呼び覚まさずにはおかない。
ここには、やはり優れた作品の持つ永遠の至福の時がある。


画廊シェーネ 奥田 聰
東興通信 投稿文より

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